南尾根から山頂部を望む。山頂は中央奥の疎林部分。 山頂手前で、東側に素晴らしい眺めが広がる。写真は羊蹄から右端の貫気別山まで。 山頂奥から昆布岳と西昆布岳を望む。 そして下山途中に豊浦精錬所跡へ。 1月2日は虻田郡豊浦町のペタヌ山へ。昆布岳・西昆布岳の南に位置するが、 知っている人はほとんどいないであろうマニアックな低山。 最近Web上で山行記などを目にするようになってきた。 ルートは大岸の小鉾岸川支流ペタヌ川沿いの林道から。・234尾根の東隣りの南尾根へ取り付く。 林道入口には大岸鉱山(小鉾岸鉱山)跡の説明板がある。 ペタヌ川を渡ることができるので、南側の四等点「鳥山」含めて周回するルート取りも容易に。 ペタヌ川上流へと進路を取ると、倒木が多くて少々荒れぎみ。 ちらっと見えた山頂部。天候は急激に回復。 林道を詰めて実線から破線の徒歩道に変わる所に到着。 徒歩道ははっきりせず、よくわからない。 予定通り右手の尾根に取り付く。 尾根上は積雪少なく笹を漕ぐ場面があった。 ペタヌ川源頭部を眺めながら登り、 平坦になると山頂部が現れる。右手の急斜面にはジグザグとした作業道があり、 それに沿って登ることに。 登るにつれて南西から西側の眺めが広がる。 幌扶斯山から礼文華峠方面。 中央に金山。左手奥に丸山。右手は幌内山から続く稜線の南側。 金山は低山ながら山容が魅力的。山名は金鉱が由来だろうか。 急斜面を登りきると稜線上の小さな台地となり、東側の眺めが素晴らしい。 右手に尻別岳と遠景は無意根山方面。 洞爺カルデラと徳舜ホロホロ。左中景に早月山。手前は平坦で農耕地となっているカルデラ西外縁。 わかりづらいが旧メジロ牧場が見えている。 徳舜、ホロホロ、オロオロの三つのピーク。 洞爺湖中島のトーノシケヌプリとオロフレ山。 台地から山頂へ。山頂直下は等高線がくっつきそうな急斜面だが、 実際はたいした傾斜でもなく、難なく登ることができた。 本貫気別と同じ青いプレートの山頂標識。設置される二等三角点の点名は「辺多奴」。 点の記での読みは「ペタヌ」ではなく「ベタヌ」となっている。北東側に ベタヌ川やベタヌ別川があるが、由来は同じなのであろう。 私有地のようであるが(汗)、一応何も無さそうな藪山。 山頂から有珠山や 遠景に室蘭岳から絵鞆半島の眺め。 手前中景はアルトリ岬。 北側の眺めは樹林に阻まれ良くないが、北東側に向かうとなんとか昆布岳・西昆布岳が見える所があった。 左端の三等点「西昆布」に登山者と、麓にトレースが見える。 山頂から大岸と噴火湾。正面に駒ヶ岳が見えるはずだが残念。ゆったりと大岸の海岸を眺めていると 心が落ち着く。まったく期待していなかったが、このルートは少し変化があり刻々と変わる眺めを楽しめた。 往路を下山して途中で豊浦精錬所跡へ寄り道。高速道路下のトンネルを出て林道から適当に北側へ向かうと、 ホッパーの様な大きな建物が見えてくる。 一段下がって。戦時中に閉鎖された精錬所の建造物が、斜面に沿って段々畑の様に並ぶ。 中に入れそうなボックス状の建物。 沈殿曹かな。深いプール状になって水が溜まっているかもしれないので、絶対に踏み入らないように。 林道入口の説明板の文字は消えつつある。かすれて読みづらい部分が多い。 「大正十年、この地で金鉱が発見された。掘り出された鉱石は、馬車で大岸駅土場へ運ばれ、 貨車で本州(小坂・日立)の精錬所へ送られた。 昭和十七年、豊浦精錬所が創業され、あらゆる施設が整い活気にあふれた。 戦争が激烈化した昭和十八年、鉱山・精錬所ともにわずか一年余りで閉鎖された」 小鉾岸(おふきし)川流域に点在した小鉾岸鉱山は、静狩金山株式会社として住友鉱業との間に 売鉱契約が成立した後に昭和八年から本格的採鉱となり、秋田県小坂町と茨城県日立町の 精錬所へ積み出されている。 訪問した遺構は豊浦精錬所跡で、日本産金振興株式会社によって創業されている。 しかし、翌年の昭和十八年には「金鉱山整備令」が発令されて金鉱業整理が行われ、 全国の大部分の金山が閉鎖された。 「『大戦中の国際貿易の途絶で、決済手段としての金の必要性が消滅した結果である。 全国の金山労働者は兵器製造の素材となる鉄・銅・石炭等の鉱山へ配転された』 豊浦村からは鉱山従業員とその家族の1218名が消えていった」とある。 昭和十二年の「産金法」にて増産体制となるも、わずか六年での方針転換だった。 因みにかつての地名「小鉾岸 ヲフケシ」は、昭和十年に「大岸 おおきし」へ 字名改正されて、同時に駅名も大岸駅へ改称されている。 参考文献 豊浦町史(北海道虻田郡) 編集者:渡辺 茂 1972.9.30
by tafu-r
| 2013-01-04 22:14
| 胆振
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